リフォームする時、どんな給湯器を選べば良いのかしら?
今回は、ガス給湯器についてご説明しましょう。
はじめに
ひとくちに、給湯器と言っても、灯油を使用するもの、ガスを使用するもの、電気を使用するものと、いろいろあります。
使用する燃料 | 給湯器名 |
灯油 | 石油給湯器・エコフィール |
ガス | ガス給湯器・エコジョーズ |
電気 | 電気温水器・エコキュート |
今回は、ガス給湯器についてご説明します。
ガス給湯器の機種と特徴
地域によって、給湯器を設置する場所はいろいろです。
暖かい地域では、給湯器は屋外に設置します。
寒い地域では、屋外に設置すると凍結・破損がおこりますので、屋内に設置します。
また、アパート・マンションのような集合住宅の場合には、1階から高層階への給排水・ガス等の配管を通すパイプシャフトがありますので、パイプシャフト内に各室の給湯器を設置することが多いです。
ガス給湯器は、据置型と壁掛型があります。
また、石油給湯器には、水道直圧式と減圧式がありますが、ガス給湯器は水道直圧式です。
※「水道直圧式」と「減圧式」につきましては、記事「浴室・脱衣室をリフォームするとしたら、どんな給湯器を選べば良いのか?」にてご説明しています。
屋外に設置する場合は、給排気に影響がなければ、場所に合わせて、据置型であったり、壁掛型であったり、好きな機種を設置できます。
寒冷地の場合は屋内に設置しますので、排気配管もしくは、給排気配管が必要になります。
屋内設置タイプは、ほぼ壁掛型となります。
屋内の空気を吸い込み、排気を配管を通して屋外に排出する強制排気タイプ(FE)と、配管を通して屋外の空気を吸い込み、排気を配管を通して屋外に排出する強制給排気タイプ(FF)があります。
※「強制排気タイプ」と「強制給排気タイプ」につきましては、記事「浴室・脱衣室をリフォームするとしたら、どんな給湯器を選べば良いのか?」にてご説明しています。
パイプシャフト設置タイプも、ほぼ壁掛型となります。
設置場所が屋外に相当するか、屋内に相当するかで給気や排気の配管が必要か、また、どの方向に出すかが変わりますので、それに見合った機種を選ぶことになります。
また、機能の面からみると、ガス給湯器には、お湯を使用する他に、浴槽の残り水を温めたり、入浴時お湯がぬるい時お湯を温める「追いだき機能付」とお湯を使用するだけの「給湯専用」、追いだき機能はありませんが、湯張りとたし湯の機能を持つ「高温水供給式」があります。
「追いだき機能付き」には、湯張りから、追いだき・保温・たし湯まで全自動の「フルオート」と湯張りから、追いだき・保温まで自動の「オート」があります。
「給湯専用」は、浴槽の給湯栓を開いて浴槽にお湯を貯めますが、湯量設定をしておくと、設定湯量に達したことを知らせる「お知らせブザー」が鳴り、自分で浴槽の給湯栓を閉めるタイプと、設定湯量に達すると浴槽へのお湯の供給が自動ストップし、メロディと音声で知らせるので、湯の止まっている給湯栓を閉めるタイプ「オートストップ」があります。
また、「高温水供給式」というタイプもあり、追いだき機能はありませんが、湯張りができ、高温水のたし湯をすることで浴槽のお湯の温度を上げる、追いだきに近い性能を持つ機種があります。
ガス給湯器には、「エコジョーズ」があります。
少ないガス量で効率よくお湯を沸かす省エネ性の高い給湯器です。
ガス給湯器が燃焼した時出る排気熱を回収して、再利用する給湯器です。
ガス給湯器の使用湯量は、号数で決まります。
「号数」とは、水温+25℃のお湯が、1分間に出る量(L)のことをいいます。
1分間に24L出すことができれば、24号となります。
号数が大きいほど、同時に多くのお湯を使用することができます。
「号数のめやす」
24号 | 4人家族 | キッチン、洗面化粧台、浴室シャワーの使用時間が重なり、 同時に多くのお湯が必要 |
20号 | 2人家族 | 同時に多くのお湯を使うことが少ない |
16号 | 単身世帯 | 同時に複数個所で使用しない |
家族の人数や使用の仕方で、必要な号数が決まってきます。
給湯+強制追いだき
キッチンの給湯栓、洗面化粧台・洗濯機の給湯栓、浴室の給湯栓・シャワーへ給湯をします。
浴槽への湯張り、追いだき・保温の機能については、「フルオート」と「オート」があります。
浴槽の循環口は、追いだき機能があるため、往きと戻りの配管があります。
フルオート
「自動湯張り」
リモコンのスイッチを押すだけで、浴槽の循環口から、設定温度で、設定水位になるまで湯張りします。
「自動追いだき・自動保温」
設定時間、浴槽のお湯の温度チェックし、湯温が下がると、設定温度まで自動で追いだきし、浴槽のお湯の温度を上げます。
「入浴検知による自動沸き上げ」
人が入浴したことを自動で検知し、ぬるいと感じる前に自動で沸き上げます。
「自動たし湯」
浴槽のお湯が減ったら、設定水位まで自動でたし湯します。
「追いだき配管自動洗浄」
浴槽のお湯を排水した時、追いだき配管内を新しいお湯で洗い流し、循環口から排出します。
オート
「自動湯張り」
リモコンのスイッチを押すだけで、浴槽の循環口から、設定温度で、設定湯量になるまで湯張りします。
「フルオート」とは異なり、浴槽の残り湯が循環口より上にある場合は、湯張りの湯量にばらつきがおこります。
浴槽の残り湯が循環口より下にある場合は、新たに設定量の湯張りをするため、残り湯分だけ浴槽のお湯が増えます。
「自動追いだき・自動保温」
設定時間、浴槽のお湯の温度チェックし、湯温が下がると、設定温度まで自動で追いだきし、浴槽のお湯の温度を上げます。
「たし湯」
自動たし湯の機能はありませんので、浴槽のお湯が減ったら、リモコンの「たし湯」スイッチを押して、たし湯します。
金額の違い
「壁掛型 強制給排気タイプ」
「24号フルオートを基準とした定価での金額の違い」
号数 | フルオート | オート |
24号 | 基準 | マイナス53,000円 |
20号 | マイナス29,000円 | マイナス82,000円 |
16号 | マイナス65,000円 | マイナス119,000円 |
自動湯張り時の精度が違ったり、追いだき配管の自動洗浄機能がない等のことはありますが、フルオートとオートの大きな違いは、浴槽のお湯が減った時、たし湯が自動で行われるか、リモコンで操作するのかではないかと思われます。
オート・フルオートの場合は、湯張り、追いだき、たし湯、たし水のすべてが、自動かリモコン操作で行えますので、浴槽の給湯栓は必要なくなります。
もともとフルオートを使っていた方は、フルオートの方が使い勝手が良いでしょう。
しかし、初めて使う方は、たし湯する時のリモコン操作が苦でなければ、オートで十分だと思います。
給湯専用
キッチンの給湯栓、洗面化粧台・洗濯機の給湯栓、浴室の給湯栓・シャワーへ給湯をします。
浴槽への湯張りは、給湯栓からの落とし込みとなりますが、その機能には、「オートストップあり」と「オートストップなし」があります。
浴槽のお湯を温める機能はありません。
オートストップあり
「湯張り」
浴槽の給湯栓を開いてお湯張りします。
浴槽への湯張り量と温度は、リモコンで設定します。
設定湯量に達するとお湯の供給がストップし、リモコンでお知らせします。
浴槽の給湯栓を閉めて湯張り完了です。
湯張り終了後、10分以内に給湯栓を閉じれば、自動的に湯張りの設定が解除されます。
オートストップを使用して湯張りした場合、湯張り設定を解除するまで、お湯が使用できません。
また、浴槽の湯張り中にキッチン、洗面化粧台等の給湯栓でお湯を使用すると、その分も浴槽に入ったものと換算されるため、その分だけ浴槽の湯張り量が少なくなります。
オートストップなし
「湯張り」
浴槽の給湯栓を開いてお湯張りします。
浴槽への湯張り量と温度は、リモコンで設定します。
設定湯量に達するとリモコンでお知らせします。
浴槽の給湯栓を閉めてお湯を止め、湯張り完了です。
浴槽の湯張り中にキッチン、洗面化粧台等の給湯栓でお湯を使用すると、その分も浴槽に入ったものと換算されるため、その分だけ浴槽の湯張り量が少なくなります。
金額の違い
「壁掛型 強制給排気タイプ」
「24号オートストップを基準とした定価での金額の違い」
号数 | オートストップ |
24号 | 基準 |
20号 | マイナス27,000円 |
16号 | マイナス32,000円 |
「給湯専用」のほとんどの機種が、「オートストップ」機能を有しています。
浴室の給湯栓を閉めに行く前に、お湯が止まるのは便利な機能かと思われます。
高温水供給式
キッチンの給湯栓、洗面化粧台・洗濯機の給湯栓、浴室の給湯栓・シャワーへ給湯をします。
浴槽への湯張りと高温のたし湯機能があります。
浴槽の循環口は、湯張りのみのため、往きの配管のみです。
浴槽のお湯を温める時は、高温のたし湯をします。
「自動湯張り」
リモコンのスイッチを押すだけで、浴槽の循環口から、設定温度で、設定湯量になるまで湯張りします。
設定湯量がそのまま入りますので、浴槽に残り湯がある場合、残り湯分だけ浴槽のお湯が増えます。
「自動保温」
設定時間、浴槽のお湯の温度チェックし、湯温が下がると、自動的に高温のたし湯をします。
高温のたし湯をすることで浴槽のお湯を温めるため、浴槽の湯量が増えますので、浴槽のお湯があふれる場合があります。
金額の違い
「壁掛型 強制給排気タイプ」
「20号を基準とした定価での金額の違い」
号数 | 高温水供給式 |
20号 | 基準 |
16号 | マイナス15,000円 |
「壁掛型 強制給排気タイプ」の「高温水供給式」には、24号は見当たりませんでした。
「自動保温」機能を使うと、浴槽のお湯が冷める度に高温のたし湯をしますので、多くの家族が入浴する間に浴槽のお湯が増えすぎてしまうからかもしれません。
エコジョーズ
「エコジョーズ」とは、ガス給湯器が燃焼した時出る排気熱を回収して、再利用するガス給湯器です。
ガス給湯器に供給された水を、燃焼した時に出る排気熱の中を通すことで、水が排気の熱で温められ、燃焼時の熱効率を高めています。
熱効率が高められた分、ガスの使用量を節約し、CO2の排出量が削減されています。
家計にも環境にも負担が少ない、経済的なガス給湯器です。
石油給湯器の「エコフィール」とガス給湯器の「エコジョーズ」は排気熱を利用した給湯器です。
「エコジョーズ」には、「給湯+強制追いだき」と「給湯専用」があります。
「高温水供給式」は、あまり見たことがありません。
「給湯+強制追いだき」には、「フルオート」と「オート」があります。
金額の違い
「壁掛型 強制給排気タイプ」
「24号フルオートを基準とした定価での金額の違い」
号数 | フルオート | オート | 給湯専用 |
24号 | 基準 | マイナス56,000円 | マイナス209,000円 |
20号 | マイナス28,000円 | マイナス84,000円 | マイナス222,000円 |
16号 | マイナス62,000円 | マイナス119,000円 | マイナス228,000円 |
エコジョーズと通常のガス給湯器では、エコジョーズの方が省エネになります。
価格についても、通常のガス給湯器よりエコジョーズの方が高くなります。
「壁掛型 強制給排気タイプ」の値段からすると、同じ号数のフルオート・オートを選べば、通常のガス給湯器よりもエコジョーズの方が、定価で4万円前後高くなります。
エコジョーズは、CO2の排出だけでなく、ランニングコストも減らせます。
長く使う給湯器ですから、金額が許すなら、エコジョーズを選ぶのも良いと思います。
ガス湯沸器の機種と特徴
「ガス湯沸器」は、ガス給湯器より能力が低く、キッチン単体で使われることが多いです。
供給湯量は、「5号」です。
湯沸器本体に出湯管が付いており、本体操作ボタンで湯温調節及び出湯、出湯停止を行う「元止式」と湯沸器から配管で給湯栓と接続し、本体操作ボタンで湯温調節をして、給湯栓を開くことで出湯、出湯停止を行う「先止式」があります。
元止式
「元止式」は、キッチンのシンクの正面に湯沸器を設置し、水はキッチンに付いている蛇口から出し、お湯は湯沸器本体の出湯管から出すような使い方になります。
出湯管をシンクに向け、本体操作ボタンで湯温調節及び出湯、出湯停止を行います。
給水は、シンクの蛇口の根元に分岐金具を設置し、給水を分けて、一方はそのまま蛇口に送り、もう一方をフレキ管で湯沸器に接続します。
お湯は、湯沸器本体の出湯管から出ますので、配管においても、設置が容易な機種になります。
給湯器本体に給気口と排気口が付いており、室内の空気を取り込み、室内に排気するため、換気が不十分な場所では使用できません。
必ず換気扇を回しましょう。
先止式
「先止式」は、キッチンの横あたりに湯沸器を設置し、お湯の配管をキッチンの蛇口に接続して、蛇口の開け閉めで使用しますので、混合栓の蛇口にも対応できますし、湯沸器をキッチンから多少離れた場所に設置することもできます。
本体操作ボタンで湯温調節をして、シンクの給湯栓を開くことで出湯、出湯停止を行います。
給湯栓を開くことで出湯しますので、湯沸器から給湯栓までお湯の配管をしなければなりません。
本体の取り付け位置によっては、給水の配管が長くなる場合もありますので、「元止式」ほど設置工事は容易ではありません。
「元止式」と同様、本体に給気口と排気口が付いており、室内の空気を取り込み、室内に排気するため、換気が不十分な場所では使用できません。
必ず換気扇を回しましょう。
金額の違い
「元止め式」も「先止式」も本体の値段はほぼ変わりません。(定価で5万円前後です。)
取り付け時の部材が、「先止式」のほうが多少かかると思います。
「先止式」の湯沸器でも、供給湯量は5号ですので、浴室、洗濯機等にお湯をひくことはできません。
浴室、洗濯機等にお湯を引く場合は、ガス給湯器を使用してください。
まとめ
・浴槽のお湯を温める機能が必要であれば、「給湯+強制追いだき」を選びましょう。
必要でなければ、「給湯専用」を選びましょう。
・追いだきの使用回数が少ないのであれば、高温のたし湯で浴槽のお湯を温める「高温水供給式」もあります。
・リモコンのスイッチを押すだけで、自動で浴槽にお湯はりし、浴槽のお湯が冷めた時、自動で浴槽のお湯を温める機能が必要であれば、「オート」タイプを選びましょう。
浴槽のお湯が減った時、自動でたし湯をする機能も必要であれば、「フルオート」タイプを選びましょう。
・予算が許せば、ガスの使用量を節約し、CO2の排出量を削減するエコジョーズを選びましょう。
給湯器が燃焼した時出る排気熱を回収して、再利用するガス給湯器です。
・キッチンにのみお湯が必要であれば、湯沸器で十分です。
設置が簡易な方が良ければ、「元止式」を選びましょう。
キッチンに湯水の混合栓が必要であれば、「先止式」を選びましょう。
ご家庭の人数、使用の仕方等、環境に合ったガス給湯器をお選びください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。