水の話 下水道編

上下水道
博士
博士

下水道はいつ頃から普及したか知ってる?

助手
助手

昔はし尿が畑の肥料として必要とされていたんですよね?
今では下水処理場で浄化してから川や海に放流されています。
いつ頃から変わったんでしょうか?

下水道はなぜ普及したのか?

昔はし尿を畑の肥料として使っていました。
生活に必要なものとして、大切に溜めてあったんです。

明治時代になって、人々が東京等の大都市に集まるようになって、大雨による家屋の浸水や低地に流れずに溜まる汚水によって伝染病がはやるようになり、1884年東京に初めて下水道が作られました。

しかし、いくつかの都市に下水道が作られたのみで、下水道が全国に普及するまでには至りませんでした。

下水道が整備されるようになったのは、戦後産業が急速に発展し、都市への人口が集中するようになってからです。

産業の発展に伴い、1955年頃から工場等の排水で河川や湖沼の水質汚濁が顕著にみられるようになり、1970年下水道法の改正により、下水道は公共用水域の水質保全という役割を担うようになりました。

博士
博士

下水道には、汚水と雨水があるのを知ってる?

助手
助手

地域によっては、汚水と雨水を1本の配管で流す「合流式」と別々の配管で流す「分流式」があるんですよね。

下水道で汚水と雨水を流す方法には「合流式」と「分流式」があります

現在でも、キッチン・洗面化粧台・洗濯機・風呂等の雑排水は、そのまま川や海に流し、トイレ等のし尿は便槽に溜めて、いっぱいになるとし尿収集車を頼んで汲み取ってもらうという地域はまだまだあります。

ただ、便槽にし尿を溜めておくことは、衛生的ではありませんし、臭いの原因にもなります。

公共の下水道が整備されると、キッチン・洗面化粧台・洗濯機・風呂等の雑排水もトイレ等の汚水も汚水配管を通して下水処理場に送られるようになりました。

下水処理場では、多くの槽を通して、汚れを沈殿させ、微生物の働きにより水をきれいにして、川や海に放流します。

下水には、雨水も含まれます。

公共下水道が普及した頃には、生活の中で発生する汚水と雨水を1本の配管で下水処理場に送る「合流式」が一般的でした。

そのため、公共下水道が早くに整備されていった大都市に「合流式」が多くみられます。

1970年に下水道法が改正され、公共用水域の水質保全が位置付けられてからは、汚水と雨水を別々の配管で流す「分流式」が取り入れられ、汚水は汚水配管を通して下水処理場へ送られ、雨水は雨水配管を通してそのまま川や海へ放流されるようになりました。

「合流式」 長所

汚水と雨水を1本の下水道配管で送るため、工事費が安く、管理もしやすくなります。

「合流式」 短所

汚水と雨水を1本の下水道配管で送るため、大雨が降った時、下水処理場に流れ込む水量が増大しますので、処理しきれなかった汚水の混ざった雨水が、川や海に放流されてしまいます。

「分流式」 長所

下水道配管が汚水配管と雨水配管に分かれていますので、雨量に影響されることなく、汚水は下水処理場で処理されますので、川や海に汚水が放流されることがなく安心です。

「分流式」 短所

汚水は汚水配管を通して下水処理場に送られますが、雨水は雨水配管を通ってそのまま川や海に流れますので、雨が降った時、道路の表面に付いた汚れや大気汚染物質が雨水に流されて、川や海を汚してしまいます。
道路に埋設されている下水道の本管を汚水配管と雨水配管に分けるだけでなく、住宅の排水設備も汚水配管と雨水配管に分けなければなりませんので、工事費が高くなります。

「合流式」も「分流式」も一長一短がありますが、公共下水道が早くに整備された大都市に「合流式」が多く、1970年の下水道法の改正により、現在では「分流式」が主流となっています。

「分流式」なのに雨の日に下水処理水が増えるのはなぜでしょう

雨が降っても下水処理場に流れ込む水量が増大しないはずの「分流式」ですが、実際には水量が増えています。

「分流式」の地域では、住宅の排水設備も汚水配管と雨水配管に分かれています。

間違って雨どいの水を汚水の排水桝に流していませんか?
外の散水栓に流しを設けて、その排水を汚水の排水桝に流していませんか?
1戸1戸は少ない量でも集まると、大雨の日は下水処理場の能力を超え、機能がマヒしてしまいます。

下水処理場の機能がマヒすると、各家庭の汚水が流れにくくなってしまったり、宅地内の汚水の排水桝や道路の汚水のマンホールがあふれてしまったり、下水処理場が汚水をきれいに処理しきれず、川や海の水質を悪化させてしまうことになります。
家の周りをもう一度確認してみましょう。

公共下水道の負担を軽くしてあげましょう

家庭で調理に使った油や生ごみ、水に溶けないティッシュや紙おむつ等を下水道配管に流すと、配管の中で詰まったり、汚水を下水処理場に送るためのポンプ等の機械に絡まって、故障の原因になることがあります。

油やティッシュ・紙おむつ等はごみとして処理しましょう。
生ごみも排水口に流れないよう気を付けましょう。

流れてしまえば無くなったように感じますが、以外と流したものは自宅の排水管の中か、宅地内の排水管の中に残っています。
宅地内の排水桝から水があふれてきたら、修理費がかかることになりますので気を付けましょう。

水は循環しています

空から降った雨が川や地下水となり、その一部が浄水場を通して私たちの飲み水となります。

生活の中で発生する汚水は、下水処理場を通してきれいな水となり、川や海に放流されます。

そして海の水は大気中に蒸発し、雲を作って雨を降らせます。

地球の水は、太古の昔から循環し、その総量はほとんど変わっていません。

人はその限られた水を浄化して使い、浄化して海に戻すという行為を繰り返しています。

限られた水ですから、川や海に戻す時、できる限りきれいにして戻したいものです。
それには、なるべく水を汚さないことが必要だと思います。

まとめ

昔、し尿は畑の肥料として、大切に使われていました。

大都市に人が集まるようになり、大雨による家屋の浸水や低地に流れずに溜まった汚水により、伝染病がはやるようになり、少しづつ下水道が整備されていきました。

産業が発展し、工場等の排水で河川や湖沼の水質汚濁が進み、下水道は公共用水域の水質保全の役割を担うようになりました。

下水は、生活の中で発生する汚水と雨水からなります。

その処理方法は地域によって異なり、「合流式」と「分流式」があります。

それぞれに一長一短がありますが、現在は汚水と雨水を別々に配管する「分流式」が主流です。

限られた水を大事に使うには、公共下水道の負担を減らし、川や海の水をきれいに保っていかなければなりません。

ひとりひとりができることを考えていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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