水洗化工事のため、浄化槽を設置しようと思うんだけど、どうすれば良いのかしら?
浄化槽には、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽があります。
今は、合併処理浄化槽しか設置できません。
市町村の助成事業もありますので、簡単に説明しましょう。
単独処理浄化槽とは
トイレの排水を受け、微生物の働きを利用して、汚水を処理する装置です。
流し・洗濯機・洗面化粧台・浴室等の生活排水は、処理されず、そのまま放流されます。
水質汚濁の指標となる「BOD(生物化学的酸素要求量)」というものがありますが、単独処理浄化槽のBOD除去率は65%以上のため、処理能力もあまり高くありません。
合併処理浄化槽とは
トイレだけでなく、流し・洗濯機・洗面化粧台・浴室等の生活排水も受け、微生物の働きを利用して、汚水を処理する装置です。
生活排水の汚水量は、トイレ・流し・洗濯機・洗面化粧台・浴室等を合わせると、トイレの4倍あります。
水質汚濁の指標となるBODの濃度は、流しが一番高いです。
合併処理浄化槽のBOD除去率は90%以上のため、高い処理能力を有しています。
流し等の生活排水も処理されますので、河川・海等の水質を守る大きな力になります。
浄化槽法の改正
平成13年の浄化槽法改正により、浄化槽を設置する場合には、原則として合併処理浄化槽の設置が義務づけられました。
これにより、単独処理浄化槽は新設できなくなりました。
合併処理浄化槽の補助制度
合併処理浄化槽を新設する場合、設置費用の一部を補助する制度があります。
多くの市町村では、国庫補助制度を活用し、合併処理浄化槽の設置に対する助成事業を行っています。
浄化槽設置整備事業
個人が合併処理浄化槽を設置し、浄化槽本体と設置費用を市町村が助成します。
浄化槽の維持管理は個人が行います。
公共浄化槽等整備推進事業
個人の住宅の合併処理浄化槽を、市町村が設置します。
浄化槽の維持管理は市町村が行います。
市町村で助成事業の内容が異なりますので、自分の地域の助成事業内容は役所に問い合わせてください。
合併処理浄化槽の設置
浄化槽の設置は、専門業者に依頼しましょう。
浄化槽工事業者は、浄化槽設備士という国家資格者を有する専門業者でなければなりません。
市町村の役所に問い合わせると、資格工事業者がわかります。
浄化槽設置には、建築確認申請で設置の手続きがなされる場合を除き、設置届の提出が必要です。
浄化槽設置整備事業の助成金を受けるための手続きも必要です。
市町村の資格工事業者がほとんどの書類を代行して作成してくれますので、まず、相談してみましょう。
合併処理浄化槽の維持管理
浄化槽の微生物が活動しやすい環境を保つために維持管理が必要です。
維持管理は、設置の専門業者とは異なる、維持管理の専門業者と委託契約を結ぶことが必要です。(費用がかかります)
浄化槽管理士という国家資格者を有する浄化槽保守点検登録業者です。
市町村の役所に問い合わせると、登録業者がわかります。
法定検査
浄化槽の使用開始後6~8ヶ月の間と、その後は1年に1回、都道府県知事が指定した検査機関の実施する法定検査を受けなければなりません。(費用がかかります)
浄化槽法で義務づけられています。
浄化槽設置整備事業(助成金)手続き
補助対象浄化槽
「全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会(全浄協)」に登録済みの浄化槽であること
各浄化槽メーカーが作った浄化槽が、環境省の定める国庫補助指針に適合しているかどうかを審査します。
「小型合併処理浄化槽機能保証制度」に登録済みの浄化槽であること
全国浄化槽団体連合会(全浄連)に保証登録された浄化槽に機能異常が発生した場合、その原因者を明らかにし、原因者による修補等の措置を確保します。
原因者が特定できない、または原因者による措置を講ずることが著しく困難である場合、全浄連に設けられた補償基金により、その修補に要する費用を支払う制度です。
工事完成時に提出する書類
保守点検業者との委託契約書の写し
浄化槽の維持管理を怠ると、せっかくの機能が発揮されず、浄化していない排水を流すことになります。
保守点検業者と委託契約したことを確認します。
法定検査依頼書
浄化槽の使用開始後6~8ヶ月の間に受ける法定検査(水質検査)の依頼書です。
都道府県知事が指定した検査機関が実施しますが、各都道府県にある浄化槽協会が行っています。
法定検査の検査料を振り込み、依頼します。
まとめ
・浄化槽には、トイレの排水だけ処理する単独処理浄化槽とトイレの排水だけでなく、流し・洗濯機・洗面化粧台・浴室等の排水も処理する合併処理浄化槽があります。
・浄化槽法の改正により、単独処理浄化槽は新設できなくなりました。
新設できるのは合併処理浄化槽だけです。
単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換も推進しています。
・多くの市町村では、国庫補助制度を活用し、合併処理浄化槽の設置に対する助成事業を行っています。
市町村で助成事業の内容が異なりますので、内容は役所に問い合わせてください。
・浄化槽を設置するのは、浄化槽設備士のいる専門業者でなければなりません。
浄化槽助成事業の書類作成も、設置業者に相談しましょう。
・浄化槽設置後は、浄化槽の維持管理が必要です。
浄化槽を維持管理するのは、浄化槽管理士がいる専門業者でなければなりません。
保守点検の委託契約を結ぶには、費用がかかります。
・浄化槽設置後は、都道府県知事が指定した検査機関(浄化槽協会)の法定検査を受けなければなりません。
浄化槽使用開始後6~8ヶ月の間に受ける法定検査(水質検査)と1年に1回受ける法定検査があります。
法定検査を受けるには、費用がかかります。
補足
色々な団体名が出てきました。
・浄化槽の適合審査をする全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会(全浄協)
・浄化槽の機能異常を保証する全国浄化槽団体連合会(全浄連)
・法定検査を行う浄化槽協会
法定検査の費用は設置者負担です。
6~8ヶ月の間に受ける法定検査(水質検査)のほかに、1年に1回受ける法定検査があります。
浄化槽の維持管理のため、お金をかけて、保守点検業者と委託契約を結んでいるのに、なぜ、またお金をかけて、別に検査を受けなければならないのでしょう。
きちんと維持管理がされているか、検査が必要なんだそうです。
助成制度を利用するなら、文句を言わずに受けなさいという事だと思います。
ちなみに、法定検査を受けない等、浄化槽法に違反した場合、罰則が設けられています。
補足2
浄化槽の維持管理は専門業者に任せるにしても、日常の管理も大切です。
・浄化槽は、微生物の働きが重要です。
浄化槽の近くに、ブロアという浄化槽に空気を送る装置があります。
空気をと止めると、微生物が死んでしまいますので、ブロアの電源は切らないでください。
・便器の掃除に、酸の強い薬剤を使用すると、微生物が弱ることがあります。
・トイレにトイレットペーパー以外の異物を流さないでください。
・流し台から、天ぷら油等を流さないでください。
微生物が弱ると、浄化槽の機能が落ちますので、きちんと管理しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。