浄化槽を車が通る場所等に設置する場合の補強工事について

浄化槽
博士
博士

浄化槽を車が通る場所に設置する場合、標準工事では浄化槽が破損してしまうおそれがあるため、補強工事が必要になります。

助手
助手

建物の基礎から離れた場所に設置できない場合も補強工事が必要です。

はじめに

浄化槽の設置は、「基礎工事」「据付工事」「埋め戻し工事」「コンクリートスラブ打設工事」のほかにも多くの工程が必要です。

生活排水を浄化槽に接続する流入管と浄化槽から排水する放流管の配管工事、浄化槽内に空気を送り込むためのブロワの設置工事とそのブロワからの空気配管を浄化槽本体に接続する配管工事、ブロワを動かす電気配線の工事等が必要となります。

また、浄化槽を車が通る場所に設置する場合や建築物、道路の際、がけ下等に設置する場合は、標準工事では浄化槽が破損してしまうおそれがあるため、その荷重に耐える補強工事が必要になります。

浄化槽の四方に支柱を立て上部の荷重に耐える「支柱工事」や浄化槽の横に擁壁をつくり側面の荷重に耐える「擁壁工事」についてご説明します。

浄化槽の補強工事

浄化槽上部の荷重(駐車場仕様)

浄化槽上部を駐車場として利用する場合や、浄化槽上部を車両が通る場合は、浄化槽に荷重がかからないよう、周囲に上部荷重を受けるための補強工事が必要となります。

総重量が2,000kg以下の乗用車(1輪あたりの概略重量500kg以下)が通る場所に設置する場合の仕様をご説明します。

※「総重量」とは、車両重量に乗車定員(1名あたり55kg)の重量を加算した値です。

2,000kgを越える車両が通る場合は、浄化槽メーカーへの問い合わせが必要です。

浄化槽上部の荷重に対する補強工事には、「支柱工事」と「支柱不要工事」があります。

まず、「支柱工事」からご説明します。

支柱工事の場合

「支柱工事」とは、設置する浄化槽が、車両の重みで破損しないよう四方に鉄筋で補強されたコンクリートの支柱を立てる工事です。

以下に、「支柱工事」の例を示します。

「配筋図」等につきましては、各メーカーへの問い合わせが必要です。

支柱工事寸法表

各メーカーで作成する浄化槽は、縦、横、高さの寸法が異なります。

そのため、「支柱工事」におけるスラブ、ベース等の寸法も異なります。

以下に、「フジクリーン小型浄化槽CA型(5~10人槽)の場合と「クボタ小型浄化槽KZⅡ型(5~10人槽)」の場合の寸法表を参考として示します。

支柱不要工事の場合

強度評定((財)日本建築センター)を受けた浄化槽であれば、補強工事を省略できる場合があります。

しかし、「支柱不要工事」の場合は、施工に対する制約が多くなります。

同様の総重量が2,000kg以下の乗用車(1輪あたりの概略重量500kg以下)の車が通る駐車場の場合、メーカーでも多少異なりますが、「支柱不要工事」の浄化槽の設置場所には、以下のような決まりごとがあります。

①地耐力が40kN/㎡(4.08t/㎡)以上で車両等の重量に耐える地盤に設置してください。
※「スラブは必ず地耐力30kPa以上の土肩で、200㎜以上受けるようにしてください。」というメーカーさんもあります。

②積雪高さ1m以下の地域が対象となります。

③雨水等が地下滞留する地質や水みちになる地質への設置はさけてください。

④浄化槽の真上に乗用車が位置するよう配置してください。

⑤対象となる建築用途は、戸建住宅に限ります。(不特定の車両が利用する駐車場ではないこと)

以下に「支柱不要工事」の例を示します。

「寸法表」につきましては、「フジクリーン小型浄化槽CA型(5~10人槽)の場合と「クボタ小型浄化槽KZⅡ型(5~10人槽)」の場合の寸法表を参考として示します。

「配筋図」等につきましては、各メーカーへの問い合わせが必要です。

浄化槽側面の荷重

建築物、道路の際、がけ下等は、非常に大きな土圧が浄化槽にかかりますので、できれば浄化槽の設置は避けたいところです。

しかし、諸事情でそういう場所にしか浄化槽を設置できない場合があります。

建築物、道路の際、がけ下等に浄化槽を設置する場合は、次の要領で工事を行わなければなりません。

建物等の基礎から離れて設置する場合

設置場所が広くとれる場合は、浄化槽を建物等から離して設置してください。

建物等からかかる土圧で浄化槽が破損するおそれがありますので、建物等の基礎の終点から45°の範囲に浄化槽を設置してはいけません。

擁壁工事

設置場所が狭い等、浄化槽を建物等から離して設置できない場合は、建物等からかかる土圧で浄化槽が破損するおそれがありますので、擁壁を設けなければなりません。

擁壁の仕様は、擁壁にかかる荷重の大きさや荷重の方向によって異なりますので、構造計算を充分行って施工することが必要です。

まとめ

浄化槽を車が通る場所に設置する場合や建築物、道路の際、がけ下等に設置する場合は、標準工事では浄化槽が破損してしまうおそれがあるため、その荷重に耐える補強工事が必要となります。

浄化槽の四方に支柱を立て上部の荷重に耐える「支柱工事」や浄化槽の横に擁壁をつくり側面の荷重に耐える「擁壁工事」についてご説明しました。

工事に必要な調査は施工業者さんが行ってくれますし、配筋図等の資料は設置する予定の浄化槽のメーカーさんから取り寄せてくれるでしょう。

必要な補強工事があれば、施工業者さんが施工図を作成し、役所に提出する申請書に添付してくれます

浄化槽の設置申請や補助金申請を行う場合、お住いの地域の役所によって指導される内容が多少異なる場合もありますので、上記の「支柱工事」が浄化槽設置の標準工事のようになっていることもあります。

ある程度内容を把握した上で、業者さんとよく打ち合わせをしてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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