浄化槽の設置時、掘削に伴って浸透水や湧水が出ることがあります。
そのような場合、槽が浮上しないような対策が必要です。
また、積雪の多い地域では、浄化槽上部の荷重を避け、維持管理に支障が生じないような積雪対策が必要です。
はじめに
浄化槽の設置をする時、掘削に伴い浸透水や湧水が出ることがあります。
地下水位が高い場所に浄化槽を設置する場合、浮力により槽が浮上することや槽本体が破損する可能性があります。
そのため、掘削場所にかま場を作り、ポンプで地下水を排出する「湧水対策」や浄化槽本体の周囲をコンクリートで固めるか、浄化槽のフランジ面に専用の浮上防止金具を取り付ける「浮上防止工事」が必要となります。
また、積雪の多い地域に浄化槽を設置する場合、浄化槽上部に積雪による荷重がかかったり、雪のため浄化槽の維持管理に支障が生じることがあります。
そのため、浄化槽上部に屋根囲い等を設けて、積雪による荷重が浄化槽にかからないようにする「積雪対策」が必要となります。
この時、地面や建物上部の積雪荷重が浄化槽の側面にかからないよう、浄化槽を建物等の基礎から離さなければなりません。
「湧水対策」「積雪対策」についてご説明します。
湧水対策
地下水の多い場所や軟弱な地盤の場合の掘削は、必ずのり面崩壊防止のため適切な施工をしてください。
湧水がある場合には、かま場を作り、ポンプで排水しながら作業を行う等、適切な水替え工事を行ってください。
※「水替え工事」とは、掘削に伴って浸透してくる浸透水及び湧水を排水する工事のことです。
以下に、かま場の作り方とポンプの設置の仕方の例を示します。
地下水位がベースコンクリート上面よりも高い場合には、浄化槽の浮上や浄化槽本体の破損を防止するため、「浮上防止工事」が必要になります。
浮上防止工事
浮上防止工事としては、浄化槽本体の周囲をコンクリートで固める「浮上防止コンクリート施工」と浄化槽のフランジ面に専用の浮上防止金具を取り付ける「浮上防止金具施工」があります。
「浮上防止コンクリート施工」と「浮上防止金具施工」についてご説明します。
浮上防止コンクリート施工
以下に「浮上防止コンクリート施工」の例を示します。
槽の浮上や槽本体の破損を防止するため、槽の周囲をコンクリート(浮上防止コンクリート)で固めてください。
この場合、槽本体の外槽面は布等の柔らかいもので包み、槽が損傷しないように注意してください。
浮上防止コンクリートは、必ず浄化槽内部に規定の水位まで水張りを行ってから打設してください。
コンクリートの打設は2回以上に分け、必ず1回目が硬化後、2回目を打設してください。
1回で打設するとコンクリートが硬化するまでに過大な浮力がかかり、槽が浮上するおそれがあります。
浮上防止金具施工
以下に「浮上防止金具施工」の例を示します。
槽の浮上を防止するため、浮上防止金具を4か所取り付けてください。
浮上防止金具の取り付け位置は、施工図面等を参照してください。
作業は必ず槽の水張り前に行い、水張り後の増し締めは避けてください。
締め過ぎると、槽本体が破損するおそれがあります。
積雪対策
積雪が1mを超える場合は、浄化槽の上部に屋根囲い等を設けて、積雪による荷重が浄化槽にかからないように、そして、浄化槽の維持管理に支障が生じないようにしてください。
以下に「積雪対策」の例を示します。
地面や建物上部の積雪荷重が浄化槽の側面にかからないよう建物等の基礎から離してください。
地面や建物上部の積雪荷重がかかってくる場合は、充分な対策を行ってください。
まとめ
地下水位が高い場所に浄化槽を設置する場合、浮力により槽が浮上することや槽本体が破損する可能性があります。
そのため、掘削場所にかま場を作り、ポンプで地下水を排出する「湧水対策」や浄化槽本体の周囲をコンクリートで固めるか、浄化槽のフランジ面に専用の浮上防止金具を取り付ける「浮上防止工事」が必要となります。
また、積雪の多い地域に浄化槽を設置する場合、浄化槽上部に積雪による荷重がかかったり、雪のため浄化槽の維持管理に支障が生じることがあります。
そのため、浄化槽上部に屋根囲い等を設けて、積雪による荷重が浄化槽にかからないようにする「積雪対策」が必要となります。
「湧水対策」と「積雪対策」についてご説明しました。
地域によって、役所の指導・対応の仕方にも違いがあると思います。
地域の工事業者さんの説明をよく聞いてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。