水の話 上水道編

上下水道
博士
博士

飲料水の元は、何だと思う?

助手
助手

雨水ですか?

博士
博士

確かに雨水だけど、そのまま飲んでいるわけではないのよ。

水道の水源は何でしょう

空から降った雨は、大地に浸透し、地下水となるか、川の水となって山から流れます。

水源1 地下水

浅井戸水、深井戸水

さく井(井戸掘削)による取水

ボーリング工事で地下水まで穴を掘り、ポンプで地下水を汲み上げ、浄水場という水を浄化する施設に配管を通して送ります。

水源2 地表水

河川水、ダム湖水、湖沼水

河川水からの取水

河川を流れる水が玉砂利で浸透し、穴のいっぱい開いた管の中に入り、溝(取水渠)を流れて、桝(取水井)の中に溜まります。

桝(取水井)の中で浮遊物を沈殿させて、うわ水を配管(導水管)を通して大きな水槽(接合井)の中に溜めます。

水槽(接合井)で浮遊物を沈殿させて、うわ水を配管(導水管)を通して浄水場に送り、次の水槽(着水井)に溜めます。

次の水槽(着水井)のうわ水を大きな池(沈殿池)でじっくり時間をかけて、浮遊物を沈殿させます。

水をろ過します

浄水場に送られてきた地下水や大きな池(沈殿池)で浮遊物を沈殿させた河川水をろ過します。

ろ過の方法はいくつかありますが、代表的なものは急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過です。

急速ろ過

薬液等を使用し、浮遊物をまとめて沈殿させ、砂の層に1日120~150mの速い速度で水を浸透させ、ろ過します。

機械的に浮遊物をまとめて取り出すため、コストがかかりますが、ろ過装置に使う面積が小さくても、ろ過スピードが速く、多くの水を処理できるため、大都市で取り入れられる方式です。

緩速ろ過(生物浄化法)

砂、玉砂利等を何層かに敷き詰めた大きなコンクリートでできたろ過装置(ろ過池)の中に水を溜め、砂の層に1日4~5mの遅い速度で水を浸透させ、ろ過します。

砂の層に繁殖した微生物が水の浄化を助けてくれます。

自然の力を借りてゆっくりろ過するため、コストはかかりませんが、ろ過に時間がかかるので、大きなろ過装置作るのに広い敷地面積が必要となります。

広い土地があり、大元の水(原水)がある程度きれいな地域に取り入れられる方式です。

膜ろ過

精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の無数の穴が開いているろ過膜に水を通してろ過します。

膜の種類によって穴の大きさが異なり、濁りのみのろ過から成分までろ過できます。

逆浸透膜を使えば、海の水を飲み水に変えることもできます。

ただ、ろ過するのに高い圧力が必要なため、消費エネルギーが大きく、ろ過膜や浄水システムのメンテナンスをメーカーに依存するところが大きいため、コストがとても高くなります。

ろ過池を通った後の水は?

調整池という水槽に溜められた後、塩素滅菌し、配水池という大きな水槽に溜められます。

そして、その配水池から各家庭に送られるのです。

配水池は、ろ過された水が溜まるのに時間がかかるので、刻々と変化する各家庭の水道の使用量に対処するためと配水池から上流で何か不具合が起こった時に水が途切れないようにするため容量を確保しています。

メンテナンスも徹底されます

定期的にメンテナンスも行います。

水を取り込む浸透部分は使用していると目詰まりしてきますので、玉砂利なら洗浄、砂なら表面のすき取りが必要になります。

浮遊物を沈殿させる水槽も洗浄が必要です。

河川水を取り込む河川の玉砂利洗浄、取水渠・取水井の洗浄、接合井・着水井の洗浄、ろ過池の砂のすき取り、調整池の洗浄等定期的に行います。

河川水を取り込む河川の玉砂利や取水渠・取水井に至っては、台風等大雨で濁りが生じることも少なくなく、常に確認が必要です。

水質検査も徹底されます

定期的に50項目以上に及ぶ水質検査を行います。

水道施設の整備や維持管理が適切に行われていることを確認するために、水道法で定められています。

浄水場で金魚が飼育されているのをご存じですか?

金魚の様子が変わったり、暴れたりした場合は、取水を止めて、水質を確認します。
金魚だけでなく、魚や貝を飼育してしている浄水場もあります。
これをバイオアッセイと言います。
金魚たちが私たちの水を守ってくれているのです。

まとめ

蛇口をひねるといつでもきれいな水が出ます。
ありがたいですよね。

店で売っている「~のおいしい水」のようなきれいな水源がある地域ばかりではありません。
原水を浄化して、安全に飲める水を作らなければなりません。
水がおいしくなくなると言われる塩素滅菌も安全な水を供給するためには必要です。

おいしい水を作るのであれば、緩速ろ過方式を取り入れて、自然界で起きていることと同じようにゆっくりろ過していく方がきれいな水を作ることができますし、水がきれいであれば、滅菌のため投入される塩素の量を抑えることもできるでしょう。

しかし、それには広い敷地面積が必要ですし、時間がかかるため、人口にみあった水の量を確保できないかもしれません。

大都市では、狭い敷地面積を有効に使い、速く水がろ過されて、大量の水を確保できる急速ろ過方式を導入する方が皆が助かると思います。

その地域の水道事業者が、その地域の水源を考えて、その地域に合ったろ過方式を選定し、水道事業計画立ててくれています。

きれいな水が好きなだけ使えることは、とても幸せなことかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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