今の住宅は気密性が高くなって、冷暖房の効率も良くなっていますね。
それだけにより良い環境を作るため、換気設備が大切になると思います。
換気設備には、いろいろな種類や機能があります。
簡単にご説明しましょう。
換気の種類
換気には、屋外から新鮮な空気を取り込む給気と室内の汚れた空気を屋外に排出する排気があります。
給気・排気共に、換気口等を設けて空気を自然に流す自然換気と換気扇等の機械を設けて強制的に行う機械換気があります。
この自然換気と機械換気の組み合わせで、換気の種類は大きく3種類に分けられます。
第1種換気
給気も排気も機械換気で行います。
機械でコントロールするため、安定した風量で換気することができます。
第2種換気
給気が機械換気、排気が自然換気で行います。
病院等のクリーンな環境を保つ場合、機械で安定した給気を取り込むことで、室内を正圧に保ち、外からの汚れた空気の侵入を防ぎます。
排気を自然に任せるため、排気が滞る環境になった場合、給気の効率も落ちます。
第3種換気
給気が自然換気、排気が機械換気で行います。
厨房・浴室・トイレ等、臭いや水蒸気が出る場合、機械で安定した排気を行うことで、室内を負圧に保ち、外の空間に臭いや水蒸気が広がるのを防ぎます。
給気を自然に任せるため、給気が滞る環境になった場合、排気の効率も落ちます。
シックハウス対策
平成15年建築基準法で、シックハウス対策のため新たな基準が設けられました。
建築基準法第28条の2
居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置
シックハウス対策に係る規制の概要
シックハウス対策の規制を受ける化学物質
クロルピリホス及びホルムアルデヒドが該当します。
クロルピリホスとは、有機燐剤のひとつで、シロアリ駆除剤として使用されます。
ホルムアルデヒドとは、接着剤、塗料、防腐剤等の成分であり、安価なため建築材料に広く用いられています。
クロルピリホスに関する規制
居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用が禁止されています。
ホルムアルデヒドに関する規制
・内装仕上げの制限
居室の種類及び換気回数に応じて、内装の仕上げに使用するホルムアルデヒド発散建築材料は面積制限を受けます。
・換気設備の義務付け
内装の仕上げ等にホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない場合であっても、家具等からもホルムアルデヒドが発散されるため、居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が原則義務付けられています。
・天井裏等の制限
天井裏等は、下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建築材料とするか、機械換気設備を天井裏等も換気できる構造とする必要があります。
換気回数0.5回/hの24時間換気システムを設置しましょう
換気回数0.5回/hとは、1時間当たりに部屋の空気の半分が入れ替わることをいいます。
個別換気
機械排気+自然給気
各部屋にそれぞれ排気用換気扇と自然給気口を設け、部屋ごとに必要換気量を満足させます。
機械排気+機械給気(熱交換形換気扇)
各部屋にそれぞれ熱交換形換気扇を設け、部屋ごとに必要換気量を満足させます。
熱交換システムを利用することで、冬場は屋外の冷たい空気を取り込む給気が、室内の暖かい空気を排出する排気の熱を奪います。
夏場は、冷房で冷やされた室内の空気が排出される時、屋外の熱い空気を取り込む給気から熱を奪うことで屋内の冷気を保ちます。
熱交換システムを使用することで冷暖房時の熱ロスを抑えることが出来ます。
トータル換気
機械排気+自然給気
洗面脱衣室・浴室・トイレに排気用換気扇を設け、各部屋に自然給気口を設けます。
空気の入り口と出口を設け、各部屋のドアの下に空気の通る隙間(アンダーカット)を設けることによって、空気の流れを作ります。
工事費は安く済みますが、自然給気口は冬場は屋外の冷たい空気を取り込みますし、夏場は屋外の熱い空気を取り込みますので、冷暖房の熱をロスします。
セントラル換気
機械排気+機械給気(熱交換気調システム)
洗面脱衣室の天井裏に給排気形の熱交換ユニットを設置し、ユニット部で排気を行い、ユニットからダクトで各部屋まで配管した先で給気を行います。
ユニットから屋外に給気用ダクトと排気用ダクトが出ており、冬場は屋外の冷たい空気を取り込む給気が、室内の暖かい空気を排出する排気の熱を奪います。
夏場は冷房で冷やされた室内の空気が排出される時、屋外の熱い空気を取り込む給気から熱を奪うことで屋内の冷気を保ちます。
熱交換システムを使用することで冷暖房時の熱ロスを抑えることが出来ます。
各部屋に設置した給気からドアアンダーカットにより、洗面脱衣室のユニット部の排気まで空気の流れを作ります。
トイレと浴室は負圧にするため、機械排気の換気扇を取り付けます。
工事費はかかりますが、熱ロスも抑えられ、安定した風量で換気することが出来ます。
熱交換システム
熱や湿気は高い所から低い所へ移動します。
暖房時に熱せられた湿気を含んだ空気は、熱交換器内で、冷たく乾いた空気に熱と湿気を移動させます。
寒冷地にお住いの方は、冬場に気密性の高い部屋で暖房することにより水蒸気が発生し、窓等に結露が起こりやすくなります。
熱交換器を通すことで、屋外に排出する湿気が、給気に移り室内に戻ってくることになります。
熱交換システムには、熱と湿気を移動させる全熱交換タイプと熱のみを移動させる顕熱交換タイプがあります。
寒冷地にお住いの方は、顕熱交換システムを使用することで、冬場に室内の熱を回収し、湿気を排出できると思います。
梅雨がある高温多湿の一般地にお住まいの方は、全熱交換システムを使用することで、夏場湿気を含んだ屋外の熱い空気を給気する時、室内から排出する冷やされた排気に熱と湿気が移りますので、室内の冷気を保ち、湿気が入り込むのを抑えられると思います。
局所換気
キッチンは調理のため、臭いや水蒸気が発生しますので、レンジフードを設置します。
レンジフードにも排気のみのタイプと排気と給気があるタイプがあります。
薪ストーブや煙筒タイプのペレットストーブを設置した場合、気密性の高い住宅で排気のみのレンジフードを使用すると、室内の空気を大量に吸い込むため、ストーブの煙筒から空気を引っ張ることになり、煙筒から室内に煙が漏れ出すことがあります。
薪ストーブや煙筒タイプのペレットストーブを気密性の高い住宅に設置する場合は、ストーブの裏側の壁に自然給気口設ける必要がありますし、レンジフードは排気と給気があるタイプを設置しなければなりません。
まとめ
平成15年に建築基準法でシックハウス対策のため新たな基準が設けられました。
一般住宅であれば、1時間あたりに部屋の空気の半分が入れ替わる換気設備(換気回数0.5回/h)を設ける必要があります。
その換気設備は24時間稼働していなければなりません。
換気設備は給気と排気で成り立っています。
熱交換システムを使うと冬場の暖房、夏場の冷房の熱ロスを抑えることが出来ます。
梅雨がある高温多湿の一般地にお住いの方には、熱と湿気を移動させる全熱交換システムをおすすめします。
寒冷地にお住まいの方には、熱のみ移動させる顕熱交換システムをおすすめします。
換気が不十分だと窓が結露したり、クローゼットの中が湿気たりと良いことがありません。
換気は、新鮮な空気を供給したり、悪臭や塵埃、湿気を排出したり、室温を調整したり、燃焼に必要な酸素を供給して不完全燃焼を防止します。
換気設備をきちんと考え、健康で快適な生活を送りたいものです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。