太陽光発電による電気の自家消費とデマンドレスポンス

太陽光発電
博士
博士

今、電力の需要と供給のバランスをとるため、電力の消費者(需要側)が、電力の供給状況に合わせて、電力の消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」が注目されているわね。

助手
助手

家庭用蓄電池やEV(電気自動車)、V2H充放電設備を使用した電力の自家消費を、電力会社等からの要請に合わせることにより、電力会社等からの報酬が得られるという「インセンティブ型デマンドレスポンス」というのもあるそうですよ。

デマンドレスポンスのメリット

太陽光発電を行っている方は、蓄電池やEV(電気自動車)、V2H充放電機等を使用し、発電した電気の自家消費をめざしている方が多くみられます。

電力会社から購入する電力を減らし、電気料金を節約するためです。

しかし、節約するだけでなく、節約することで報酬が得られる仕組みがあります。

電気の需要者が、電気の需要がひっ迫している時、蓄電池やEV(電気自動車)等を使用し、電気の需要量を下げることにより、電気料金を節約しながら、契約している電力会社から報酬が得られるのが、「インセンティブ型デマンドレスポンス」です。

デマンドレスポンスの必要性

太陽光発電における需要と供給のバランス

太陽光発電や風力発電等再生可能エネルギーの供給量は、天候等の様々な条件によって変動しますが、近年の再生可能エネルギーの導入拡大によって、この変動量が増加しています。

需要が多い時期には、電力需要がひっ迫する一方、需要が少ない時期には、供給が過剰になり、再生可能エネルギー由来の電気が余ることもあります。

電力は蓄えられず、余るとエネルギーが無駄になります。

また、電力の需給バランスを一致させないと、電圧や周波数に影響が出て、停電の原因となります。

この、電力の需給バランスをコントロールするために、今までは供給側である電力会社が「出力制御」を行ってきました。

電力会社は、電気が余りそうになると、発電事業者に「発電しても買えません」という通知を出し、発電量(供給量)を下げることで、電力の需要と供給を一致させるためにコントロールしています。

しかし、供給側の対応だけでは限界があります。

そこで、供給側だけでなく、電力の需要側が、電力の供給状況に応じて、電力の消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」の重要性が高まってきています。

電力需要がひっ迫している時は、需要側が電力会社からの電気を使わないように、蓄電池やEV(電気自動車)に蓄電してあった電気を、家庭の照明器具や電化製品に使用します。

そして、電力が余っている時は、供給側が出力制御を行い、発電量を減らすとともに、需要側が蓄電池やEV(電気自動車)に充電することで、過剰電力を減らします。

そうすることで、電力の需要と供給のバランスをとることができます。

太陽光発電における電力の自家消費

太陽光発電を行っている方は、FIT制度(固定価格買取制度)終了による売電価格の低下もあり、電気料金節約のために、電気の「自家消費」をすすめています。
(FIT制度終了後の選択肢については、「太陽光発電の卒FIT後の選択肢」でご説明しています。)

しかし、パネルによる太陽光発電だけでは、電気を貯めておくことはできません。

電気の自家消費に必要とされているのは、家庭用蓄電池とEV(電気自動車)です。
(家庭用蓄電池とEV(電気自動車)導入のための補助金制度については、「太陽光発電における家庭用蓄電池とEV(電気自動車)導入補助金制度」でご説明しています。)

日中発電した電気を蓄電池に充電し、夜間や天気が悪くて発電できない日中に、充電しておいた電気を使用したり、日中通勤に使用していて、直接充電できないEV(電気自動車)に、帰宅後夜間でも、蓄電池から充電することができます。

また、EV(電気自動車)のバッテリーを大容量の蓄電池として活用することで、さらに、自家消費がすすみ、電気代の節約になります。

EV(電気自動車)を蓄電池として活用するためには、EV(電気自動車)から電気を取り出し、住宅の照明や家電に、電気が使用できなければなりません。

そのために必要なのが、「V2H充放電設備」や「外部給電器」です。
(V2H充放電設備/外部給電器導入のための補助金制度については、「太陽光発電における「V2H充放電設備/外部給電器」導入補助金制度」でご説明しています。)

災害におけるの停電時でも、「V2H充放電設備」や「外部給電器」があれば、住宅で電気を使用することができます。

これらの太陽光発電電力の自家消費能力を使用し、需要側が電力の消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」が可能となります。

デマンドレスポンスの種類

「デマンドレスポンス」は、電力の需要制御パターンによって、電力需要を減らす「下げDR」と電力の需要を増やす「上げDR」の二つに区分されます。

上げDR

太陽光発電等の再生可能エネルギーの過剰出力分を、需要機器を稼働して消費したり、蓄電池やEV(電気自動車)に充電したりすること等により、電気の需要量を増やします。

下げDR

電気のピーク需要のタイミングで、需要機器の出力を落とし、蓄電池やEV(電気自動車)に貯めた電力を家庭の照明器具や電化製品に使用する等、電気の需要量を減らします。

「デマンドレスポンス」は、電力の需要制御の方法によって、電気料金設定により電力需要を制御する「電気料金型」と、電力の消費者(需要側)が電力会社等の要請に応じて電力需要の抑制を行うことにより対価を得る「インセンティブ型」の二つに区分されます。

電気料金型デマンドレスポンス

電気のピーク需要時に、電気料金を値上げすることで、各家庭や事業者に電力需要の制御を促します。
比較的簡単に、多数の使用者に適用することができますが、その時々の消費者(需要側)の対応によるため、効果は不確実です。

インセンティブ型デマンドレスポンス

電力会社等との間で、あらかじめ電気のピーク需要時に節電する契約を結んだ上で、電力会社等からの依頼に応じて節電した場合に対価を得られる仕組みです。
契約によるため、効果は確実ですが、比較的手間がかかるため、小口の消費者(需要側)への適応が困難といわれています。

「インセンティブ型デマンドレスポンス」では、家庭用蓄電池やEV(電気自動車)、V2H充放電設備を使用した電力の自家消費を、電力会社等からの要請に合わせることにより、電気料金の節約に加え、電力会社等からの報酬が得られるというメリットもあり、注目されています。

まとめ

太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入が拡大される中、電力の需要と供給のバランスをとることが重要になっています。

今までは、電力の供給側が発電量を制御して、電力の需要と供給のバランスをとってきました。

しかし、供給側だけでは、限界があります。

これからは、電力の需要側が、電力の供給状況に合わせて、電力の消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」が注目されています。

とりわけ、「インセンティブ型デマンドレスポンス」では、蓄電池やEV(電気自動車)、V2H充放電設備等を使用した電力の自家消費を、電力会社等からの要請に合わせることにより、電力料金の節約に加え、電力会社等からの報酬が得られるというメリットもあり、注目されています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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